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── では渡辺さんのもうひとつの趣味である建築の事や、人気番組『建もの探訪』にまつわるお話等も聞いてみたいのですが。
渡辺 これは、最初に話したオーディオと通じるのですが、僕は音楽を聴きながら本を読んだり、写真集を眺めたりするのが好きでした。それで、読み進めて行くうちに、昔から大好きだったデザインや建築関連の本が増えていきました。ケーススタディハウスの本や、バウハウス、フランクロイドライトについての文献。日本建築や海外の街並みの写真集とか色々とね。お気に入りの音楽を聴きながら、お気に入りの建築関係の本に目を通す日々がありました。
── なるほど。
渡辺 それこそ『建もの探訪』が始まる十数年前から、ずっとそんな事をやっていたんですが、ある時初代の番組プロデューサーが私に声をかけてくれました。何で僕の建築好きがバレたのか不思議だったんですが(笑)、最初は『建もの探訪』は観光番組だったんです。当初のコンセプトは公共的な建築物を尋ね歩くという1クール(3ケ月)だけの企画でした。「お宅」拝見じゃなく「建もの..」でしたから。でも、大きな建造物ばかりではなく、小さくても名建築があるから個人住宅を紹介しようと僕が頼みました。と言うのも、さっきお話しした愛読していた本の中には、専門誌「新建築」の住宅特集や「住宅建築」「GA」「SD」など毎月読んでたので、個人住宅には凄く興味が有ったのです。
── そうだったのですか。渡辺さんが『建もの探訪』を担当されたのも「必然」だったのですね。
渡辺 そういった本を番組会議に持っていっては、住宅や建築家を推薦しましたよ。でも、TVと言うのはスポンサーがあって成り立つ訳で、建築と言うとやはり大手のハウスメーカーという事になるでしょ?もう時効だから言いますが、個人で活躍する建築家が建てた注文住宅の紹介番組では喜べない部分もあったわけです(苦笑)。特にTV局は住宅展示場やったりしているでしょ。しかし、ある意味において既成ではないと言いますか、オーダーっていうのは服でも車でも色んな分野に沢山有る訳で、そういう生活や暮らしを紹介する意味のある番組ですよと口説いた訳です。
── よろしければ、番組のメイキングを少し教えてください。
渡辺 まず、最も重要な事ですが、番組で取り上げる住宅に関して写真も見ないし、その家族のプロフィールも含めて、事前に何も情報を知りません。僕は最初のインプレッションこそが大切だと思っていますから、収録に何処に行くのかも含め一切聞かない事にしています。ですから、今では僕が建物を推薦する事も有りません。ロケ現場に着き、ピンポンとチャイムを押し、「おはようございます」と挨拶する...。そこから番組の全てがスタートする訳です。
── なるほど。確かにタイトルの「探訪」という意味が伝わってきますね。
渡辺 それと、ロケは大体朝の9時に始まります。だから、放送地域によってはほぼリアルタイムな番組なのです。そこから昼過ぎに終わる迄テープは回しっぱなし。その分スタッフは大変だと思いますよ。でも、先日お陰様で『建もの探訪』が、ATP賞「全日本テレビ番組制作社連盟」の長寿番組賞というのを頂きました。僕も授賞式にも伺って、最高に嬉しかったですね。
── これまでを振り返られて如何ですか?
渡辺 もう、番組も始まって20年近くなりますが、その間にも暮らし方や生活スタイルは日々変化してきました。最近では「こだわり」なんて言葉が流行っていますが、その「魁としての使命」は多いに果たして来たと思っています。いつか、生で4時間くらいの特別番組をやってみたいですね。きっと、凄く面白いと思いますよ。
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