イクリプスTDユーザーリスト

ECLIPSE・音楽のある風景/廣部 剛司 ( 建築家 ) 監修/聞き手:倉持淳一

「音楽」もそうですが、廣部さんは「水」にもこだわられていて、それは廣部さんの作品にも表れています。「水」という事で言えば、やはりそのベースには環境的な『心地良さ』があって、共通するファクターが見えるのですが。

僕にとって建築は、織り成す構成やその考え方が音楽にとても似ている所があると思っています。そのうえで「音楽のような建築」という事が常に念頭にあります。それは一言で表すならば「多様さ」にあるかと思います。透明感、波、濁り、流れ、早さなどです。「水」以外にも「風」や「光」にも同じ様な要素を感じとれるのですね。

なるほど。では、音と建築と言う事で住宅がおかれる環境のお話を伺ってみます。現代においては街中には騒音が溢れていますよね。廣部さんが目指す建築における「静けさと喧噪のうらはら」みたいな部分は感じませんか?

街にあふれる音が時に心地いい事もあります。まあ、それは往々にして煩いのですが、ああ渋谷に出てきたなぁとか、少し高揚した気持ちにさせる効果はあるでしょう。まあ日本の都市は無駄な音楽を流し続けてたりして、辟易とする時もありますが、都市と言うか環境の音と言う部分ではニューヨークの音とか、パリの音とかもあるわけですから、一概には揶揄できる事でないのかもしれません。

ただ、最近は都市部の狭小地に住宅を作られる事も多いかと思います。例えばECLIPSE TDシリーズスピーカーのユーザーの方などが、これから注文住宅を作りたい、そしてリビングのECLIPSE TDシリーズスピーカーからいつも音楽が溢れる空間を作りたいと希望したとします。しかし、その予定する敷地が都市部ゆえ、近隣の騒音が大きかったり、高速道路や電車線路などに近接している敷地だったりする場合も考えられますよね。

基本的にこれからその敷地を買われるのであれば、騒音に溢れかえる場所は難しい場合もあります。隣の家が見えていて視線を遮断する際は、外に向かって坪庭等を作ってそこに窓を開くとかすれば、光も入るし比較的に設計でうまく出来るものです。ですが、気持ちいい風が吹いているからその窓を開けたいとなった場合に、それを開放すると騒音も必ず一緒に入ってきてしまいます..。

やはり、住宅はオフィスビルとは違い、日々風も導き入れたいですね。

そうなんです。それでもその場所に住みたいとなれば、採れる方法は幾つかあると思います。僕もこれまで都心の建物は何軒か手掛けましたけど、街の中心部において住む為の土地と言う事で考えれば、そこは意外とちょっとした住宅地だったりします。また、幹線道路から一本入っただけでも静かになるものです。それと、やはりその場所その土地ならではの環境音があって、それにどう対峙してうまく溶け込ませるかが大切です。また、住宅地等には規制が有りますし、突然遊戯施設等が隣に出来る事はありません。そういう意味では本当に緩やかですが都市においても、外の音はある程度コントロールされているものなのです。

なるほど。

ある建築プランが有り、さあ音をどうする?ではなくて、「音と生活の関係性」をまず最初にプランニングする発想もいいですよね。極論は密閉して空気の流れを機械的に完全コントロールも有りでしょうが(苦笑)、部屋の中に部屋を作るという考え方もありますね。建物の一番内側は音を遮断出来る構造にすると言う事ですから、逆にそこで大きな音を出すと言う事も出来ます。やはり外界との接点を求める場合においては音は止めようが無いので、いかに喧噪の音から「回避」した開口を取るかと言う事も大切でしょうね。丁寧に作り込んで行けば充分可能だと思います。

では、今度は建物内の音の環境を伺ってみたいのですが、音の環境を閉じ込める事は簡単ですが、『皆で音楽を楽しむ空間』という事では、リビングにスピーカーがセットされていると、聴きたくなくても強制的に音楽をシェアしなければなりませんよね。そう言う場合の音と人のつきあい方はどう捉えれば良いのでしょうか?

やはり肝心なのは、家族の中における「音の距離感とその取り方」です。物理的にはアンプのボリュームの目盛り二つ分でも下げればその音楽を皆で共存させる事ができるでしょう。が、何よりECLIPSE TDシリーズスピーカーの場合はリビングにあっても、会話を邪魔しないでしょうし、そこそこの音量であれば、皆が十分に場所と時間と音楽を共存出来ると思うんです。音楽や映画のソフトの内容に左右されずに、「家族で音楽の時間や空間が共有」出来ればこんなに素晴らしい事はありません。それは、シアターにしたから大画面で大音量を聴かなくてもいい訳で、良い意味で「音楽が家族の距離感やバランスを保てる役割になれる」なら、それはとても素晴らしい事だと思います。

確かに音楽がいつも暮らしの中にあると何かと潤してくれる気がします。音楽や映画の音が家族を隔ててしまうのは嫌なものですしね。それこそ、JAZZばかり聴いてるお父さんが、娘のJ-POPを聴いて新たな発見があるかもしれません(笑)。音楽が流れているので、リビングになんとなく家族が集まってしまうとかね..思わぬ効用です(笑)。

例えばこの建物には奥さん用のピアノ室があるのですが、「練習している音がリビングでもかすかに聴こえる」様になってます。つまり、今はこの曲を練習しているんだとか、僕も何気なく分かる事で結構会話につながったりするのです。ちなみに、うちの奥さんはクラッシックのピアニストなのですが、やはりECLIPSE TDシリーズスピーカーに好印象を持ってくれています。最初の頃は聴くと解像度が良過ぎるのか、色々と聞こえすぎる印象もあったようですが、今はかえって音を追わなくてもトレース出来るし楽だと言ってくれていますよ(笑)。

余談ですが、地下を掘るとかなり費用はかかるのでしょうか?

そうですね、どうしてもそれなりに高くなります。でも、バンドでドラムを思い切り叩きたいとかならば、壁の向こうは土ですし何よりの防音材になるのは間違いないです。

それでは、そろそろまとめに入りたいのですが。漠然とした投げかけですが、廣部さんにとって建築とは何でしょうね。また、スピーカーとは何でしょうか?

まあ、色々と話してきましたが、最も重要な部分は理屈じゃなく『心が動く瞬間』こそが大切なんだろうと思います。「あー、これはまいったな」とか「うわー、そう来るか」とかね。僕もそういう風に心動く空間を作りたいと思っています。僕の建築において、音楽を聴いていて感じる感動と同じ様な「インスピレーション」を感じて貰えるなら、こんなに嬉しい事は有りません。また、光とか、水とか、風とか、そういった自然と言うか、広く見れば「地球環境と人との生活におけるインターフェースが建築なんだ」と僕は思っています。そういう観点でみますと、アーティストとオーディエンスの感動のインターフェースはスピーカーなんだろうし、そこに同じファクターと言うか「役割」を感じますよね。常に変化しながら、その一瞬、そしてそこから始まる時間を永遠に追い求めて行く様なね。水源と言うか、、泉と言うか..水が涌き出て流れて行く様な。求めるのは、そんな『音の風景』なのです。

よく解りました。本日は色々と楽しくも深いお話を伺えました。お忙しいところ、どうも有難うございました。

いえいえ、こちらこそどうも有難うございました。

PostScript・『黒箱 渋谷H邸』/廣部建築でのECLIPSEユーザー事例 http://www.hirobe.net/houki.html

渋谷と思わせない閑静な住宅地に建つ、廣部さんが手掛けられたH邸。自ら真空管アンプを製作されるオーナー氏は、とてもオーディオに精通された方で、こちらの建物の地下には自らのバンド用のスタジオも設置されています。そんなHさんご夫婦が、日々の暮らしの中において音のパートナーとして選ばれたのがECLIPSE TDシリーズスピーカーでした。普段はダイニングテーブルの上で、週末はリビングから開放された中庭で楽しむワインと共に。スタイルフリーなセッティングいて音楽を楽しまれています。『ECLIPSE TDシリーズスピーカーはサブシステムとして使っていますが、何気ない日常に透明感のある音楽を届けてくれるので気に入っています。』とはオーナーの弁。廣部さんの設計した空間の中に、ECLIPSE TDシリーズスピーカーが「爽やかな音楽感」をもたらしている様です。

あとがき

いかがでしたか?廣部剛司さんのご経験に積み重ねられた、音楽と建築に関する言葉の数々。豊かな感性と深い思考で建築に取り組まれている廣部さんのお話は、よく語られる様なホームシアター論やデザインオーディオ的発想とは一線を越えていた気がしています。概念としての「音楽のような建築」において、それを具現化する手段としてECLIPSE TDシリーズスピーカーを捉える考え方は、建築家を越えた部分での廣部さんの人となりを表している様な気がして、アカデミックですが何所か温かく、新しいけれど何所かが懐かしく、心の中に適度な余韻や波紋を感じるインタビューでありました。ECLIPSE TDシリーズスピーカーはこれまで、インテリア店で販売されたり、モデルハウスでも展示されたりと、度々デザイン系での展開がなされてきましたが、ここまで芯を突いた形でのコメント&メッセージはある意味とても斬新に聴こえました。これから、ご自宅や別荘を建てようかと思われている方はもちろんですが、実際の日々の生活の場において、私たちが音楽とどう「共生」すべきなのかをもう一度ゆっくりと考えてみたくなりました。(倉持淳一)

PROFILE

廣部 剛司 (建築家)

一級建築士/日本建築家協会(JIA)登録建築家、日本建築学会正会員。1968年神奈川県 出身。'91年日本大学 理工学部 海洋建築工学科 卒業。91〜98年芦原建築設計研究所 後に建築巡礼の旅に出る。 '99年廣部剛司建築設計室設立。'05年より日本大学理工学部海洋建築工学科 非常勤講師。06年より明治大学理工学部 建築学科兼任講師。 著書「サイドウェイ 建築への旅」執筆(TOTO出版)、趣味はギター/愛車はアルファロメオ。

廣部剛司 建築設計室オフィシャル・ウェブ・サイト
http://www.hirobe.net/

・第27回INAXデザインコンテスト 部門賞入選「黒箱-渋谷H」
・日本建築家協会 優秀建築選2006 「南青山の家」入選
・第2回木質建築空間デザインコンテスト「茶畑の家」住宅部門 入賞
・日本建築家協会 優秀建築選2005 「Barcarolle」入選
・2005 住宅建築賞・奨励賞「茶畑の家」
・JCDデザイン賞 2002 入選「Sentimento MARK」 他受賞作多数。
現在、モダンリビング誌にエッセイ『響きのかたち』を連載中。

※企業名/商品名等は、一般的に各社の商標または登録商標等です。

著者プロフィール:倉持 淳一

'67年京都出身。'95年にNHK ETVで初めてMacを扱った番組に講師としてレギュラー出演し、テーマ曲も手掛ける。その後、AppleとのiMacムーブメントで音楽市場の牽引役を担い、日経MacやMacPower誌等にエッセイも連載。早くからiPod向け製品のプロデュースを行い、音楽をベースにAppleとのリレーション、オーディオ、輸入車、建築、ファッション、インテリア、デザイン等活動範囲は幅広い。現在では次世代型ミュージックデバイスに傾倒する傍ら、新しくオーディオ デザイン ファニチャーのユニットをスタート。ECLIPSEをはじめとする、内外のオーディオメーカーの各種マーケティングコーディネートやPodcastingなども手掛ける。ライフワークとして、地球環境への警鐘と自然回帰への提唱を執筆に映す日々である。

海外のECLIPSE TD ユーザーリスト

  • Ben Georgiades (U.K)
  • Clarence Penn (U.S.A)
  • David Heaton (U.K)
  • Gary Thomas (U.K)
  • Geoff Calver (U.K)
  • Jonathan Freeman-Attwood (U.K)
  • Kirsten Cowie Bmus (U.K)
  • Klaus Hiemann (Germany)
  • Michael Zimmerling (U.K)
  • Mike Ross-Trevor (U.K)
  • Randy Brecker (U.S.A)
  • Rick Pope (U.K)
  • Royal Academy of Music (U.K)
  • Simon Osborne (U.K)
  • University of Miami School of Music (U.S.A)
海外ユーザーリスト詳細一覧(機種別)