ギターの音なんかポーンと弾いたとおりに立ち上がるリアリティは、特に512が優れている点です。色付けがなく正確に再現してくれます。 そして定位もバツグンです。
---フルレンジの音はナチュラルということですね。
オノ:
フルレンジで理想的な駆動ができればナチュラルです。さきほど音は耳だけで聴いているのではないかもしれない話をしましたが、 まあ、そんなこと言うとオーディオ評論家の先生にバカなこと言うなと怒られそうですが、実際に大学や研究機関で、脳の血流を調べたり 科学的な方法で人間は20kHz以上の音まで脳の反応が検証されています。20kHz以上の音は耳でないとしたらどの経路で脳に伝達されて いるかを見つけるのが医学的にも大きな研究テーマになっています。
---オーディオと医学の接点ですね。
オノ:
そうですね。ただオーディオも音楽も科学も本当は分けて考えることではないんです。[音楽を聴きたい] ことが目的なのに、[分析]していては心から楽しめないでしょ。
理屈やスペックを見ると潜在意識に影響して[音楽]でなく[オーディオ]として、まあ、 それが楽しみである方がいることも理解できますが。 可聴限界と言われる20kHzまで収録できるCDは、まあ、当時として最先端技術だったんですが、1980年ころのコンピュータの処理能力と、 現在のパソコンの処理能力の違いはすごいですよね。CDのスペックとはその程度なんですよ。お手軽であり、安価に複製できるということ で普及しましたけど、実は人間の感覚なんて、そんな簡単に数字で表わせるようなものではないんです。
---では、音楽やレコーディングで重要なことは何ですか?
オノ:
僕は空気を伝わってくるもので、マイクで収録して、スピーカーから再生できるものに音以外にも、ほかに何かあるんではないかと 予想しているんです。スペックとか、数字で言うと音なんでしょうけど、そのきめ細かさがスーパーオーディオCDのようになった場合に、 ライブと同じように伝わる何かがあるんです。
ミュージシャンが演奏するという行為は、楽器から音を出すだけでなく、相手に心から何か伝えようという、これが[気]かな、 意識してあるいは無意識のうちにもこういうものが絶対に重要なんです。それが[いい音楽]か[どうでもいい音楽] の差でもあり、人々に[もう一度聴きたい]と思わせるような、あるいは涙を流したり、震えてきたりする音が音楽としていい音の規準です。
---私は初めて「戦争と平和」を聴いて驚いたのは「その何か」です!もう最初から最後まで、スピーカやオーディオのことは全く 忘れてました。そしてギター、声、太鼓、もう本当にいい音です。
オノ:まず、もとのギターの音が抜群にいいんです。もうマイクをおくだけで何もしない。あとは512でバランスをとるだけ。512 でぜひともスーパーオーディオCDで聴いてもらいたい。CDで8割方、スーパーオーディオCDなら本当に100%、加藤さんと僕が ミキシングしていた環境が再現できます。この25年の間にCDよりもいい音を聞いたことがないということは嘆くべきことです。 音楽業界に関しては、マーケットが小さくなってしまった原因は、CDRやMP3が出たからではなく、CD程度の音質にだんだんと 人々の聴覚、そして感性が慣らされてしまったからです。オーディオの神様、マーク・レビンソンもCDは身体に悪いことを警告 しています。スーパーオーディオCDもECLIPSE TDシリーズスピーカーも、音楽の本質を捉え、正直に再現するという点で共通しています。
---加藤さんにも気に入って頂けたということで、よかったです。
オノ:
ミキシングっていうのは、アルバムの仕上げでもっとも重要なバランスをとったりする作業で、長時間にわたって集中力もいるんです。 しかも仕上がりの精度は欠かせない。加藤さんの言葉を借りますとこういうことです。『最初の日、そんなにこのモニター聴いてなかったら 判らなくて、はたしてこのバランスは正確なのか?2日くらいして馴染んできたらもう本当に正確なんでびっくり。正確でいいバランスがその ままであるっていうのは、なかなかスピーカにとっては大変なことだよね。どんなんで聴いてもイメージ通り。マイキングも判りやすくやり やすい。それと、くたびれない(笑)。』





ザ・フォーク・クルセダーズ
「戦争と平和」
発売元:Dreamusic
http://www.dreamusic.co.jp/

<オノ・セイゲン プロフィール>
1958年生まれ。作曲家。演奏音場の空気や気配をも捉えるスーパーオーディオCD作品の制作に精力的に取り組み、 国際シンポジウムなどでの講演や、専門誌の連載などでもセオリーを公開。東京のサイデラ・レコード、サイデラ ・マスタリングを拠点に活動は海外にも及び、映画、TVドラマ、CM、ダンス・カンパニーなどの分野にも作品を 提供している。エンジニアとしてのキャリアは1980年よりスタート。アート・リンゼイ、ジョン・ゾーンから マイルス・デイビス、グレイ、パフィー、ザ・フォーク・クルセダーズまで多数のアーティストを手掛ける。
http://www.saidera.co.jp
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