TD712zの公称低域再生周波数限界は40Hzですが、これは-10dB(おそらく無響室での測定)での測定で、これはより一般的な-6dBでの測定ではありません。また、4.7インチのドライバーについて聞きたいことがたくさんあります。特に残りのオーディオ帯域を同様に再生しなければならないことについてです。しかし、驚くべきことに、RadioShack(電気用品店)で買ってきた音圧計(聴感補正カーブC、高速、Stereophile Test CD 2)を使用して80dBで設定された標準レベルで、室内共振が50Hzであることに助けられたこともあり、私の試聴室で低音域は実際に40Hzを再生する事が出来ました。それで少なくとも、このレベルでは(私は、テストトーンで80dB以上大きくしたくは無かった) ECLIPSEの低音はそのドライバーとエンクロージャーのサイズを考えると、期待するよりもよく伸びました。通常の試聴では、低音は非常に滑らかかつ平坦で、明らかに実際に制作された低音よりもゆるやかに伸びていました。コントラバスの音は基音のレベルも十分で、貧弱さや過渡特性のだぶつきも無く、特にきれいでした。RamirezのMisa Criolla(Philips 420 955-2)冒頭部分の大太鼓(バスドラ)は、より低音の伸びとパワーを持つスピーカーでの再生を聞いたことがなかったら、私は欠けているものは何も無いと思ったでしょう。
疑う余地なく、TD712zの低音が純粋に客観的な条件よりもより印象的に聞こえる要因は、スピーカーの音色のバランスでした。高音域はスムーズで、わずかに不足しているものの楽器の倍音や過渡音を伝達するには十分に伸び、しかし伸び過ぎてはいません。スピーカー設計のよく知られたコツ(注意してください。これが次の試験にでる可能性があります)は、低音と高音の量を注意深くバランスをとることです。良く伸びてパワフルな低音を再生するスピーカーは、もし同じように高音も伸びやかに再生できるなら最高ですが、もし高音が相対的に弱ければスピーカーは低音が重く聞こえ、そしてもしスピーカーが相対的に低音が弱いが高域が良く伸びている場合、音が明るすぎる様になります。TD712zの高音と低音の周波数バランスは、まさにちょうど良いバランスのようでした。
TD712zの低音域応答の限界が明白になるのは、主に大音量で多くの低音域の音楽を再生する時です。Mickey HartのPlanet Drum(Rykodisc RCD-10206)の重低音のシンセサイザ音は単純に再生出来ませんでした。しかしもう一度言いますが、その音はきれいで、音像と過渡音の明瞭性は、低音の再生出来なかった部分を十分に埋め合わせるものでした。
【結論】
富士通テンのECLIPSE TD712zは、その明瞭性、透明性、分解能、音像定位や音色の正確性において、私がかつて使っていたシステム、あるいはショーで聞いたことがある殆ど全てのスピーカーに匹敵するか、それを凌駕する並はずれたラウドスピーカーです。私が即座に、これらの特性に関して肩を並べるものだと思いついた唯一のスピーカーは、最新のQuad社の静電スピーカーESL-2805です。TD712zの限界はクォードとも共通しますが、大音量(特に大きな部屋で)で再生出来ないことと、大部分の音楽に満足である一方、同等価格で買える「通常」のスピーカーよりも、低音再生限界に制約を受ける事です。
私の持っているアバンギャルド社のUnoは、ある意味で正反対の再生周波数特性を持つスピーカーを代表するものです。Unoはごくわずかなパワーで大音量を再生出来、その2つのアンプ内蔵サブウーファーは、普通の人であれば十分な低音を再生出来ます。もう1つの明快な違いは、カラーレーション(音の色づけ)のレベルです。Unoはホーンハイブリッドであるために低いレベルですが、TD712zと比べるとまだかなり高いレベルです。
非常に異なるデザインアプローチをもつこれらの2つのスピーカーが共有するものは、音楽を活き活きと再生する能力です。私はこれら2つとも(及び部屋のスペース面)を所有する金銭面の余裕があればいいのにと思います。私がこの結論を書いている今、Unoは家のもう一つの部屋でまだ保管されており、そして、私は2-3カ月間その音を聴いていません。この状態が続くようであれば、私は代わりに富士通テンのECLIPSE TD712zと入れ替えるべきかどうかを真剣に考える必要があります。TD712zはそれほど良いスピーカーです。
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