ECLIPSE   
 
     
  ステレオファイル(Stereophile)誌 2007年1月号掲載
TD712zスピーカー試聴レポート </5>
 
     
  Robert Deutsch著  
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   透明性という言葉は、分解能の概念と関連があり、良い音に聴かせるというよりはむしろ音の差を表現出来る能力です。TD712zはこれもまた最高のクラスでに属しており、超高解像度を持つアバンギャルド社のUnoに匹敵するものでした。この記事の読者の何人かは、"The Jerome Kern Songbook " (CD, Philips 442 129-2)のSylvia McNairの"Sure Thing"のトラック10"All the Things You Are"の1分35秒において、なにが修正点、あるいは人工的な録音だと聞こえるかについて私が言及したことを思い出すかもしれません。これはあるスピーカーとシステムだけで、そしてあなたが慎重にそれに聞き耳をたてる場合だけに、McNairの声がちょうどそこで少しの間だけ曖昧になる事に気付きます。TD712zで聴くと、これは明らかに一種の声のエコーであり、あたかもMcNairが"that lights the star"の一部のフレーズだけ自分で多重録音して歌っているように聞こえます。私はECLIPSEスピーカー(512、TD712zはとても新しい)を推薦する人のリストに、Abbey RoadのSimon Rhodes、Sony MusicのMike Ross-Trevor、Emile Berliner StudiosのKlaus Hiemann、および作曲家/レコードプロデューサーであるBrian Enoを含む数々の非常に高く信頼すべき録音エンジニア達が含まれていることが興味深く、そして決して驚くべきことではないと思います。彼らは自分の作品がいったいどんな録音状態なのかを正確に聞きたいのです。

 録音のおけるミスを高度に暴き出すスピーカーは、最も元の状態に近い録音以外のすべてを聞いていられなくするので、「許されない」と通常思われます。逆説的に、TD712zではそんなことはないことが証明されました。録音のミスはこれらのスピーカーを通して確かに聞き分けられましたが、スピーカーはまた録音している音楽についてもより多くのものを伝えていました。それは、信号に関連付けて雑音を考えることに類似しています。雑音(聞き取れる人工音)はより高いのですが、しかし信号(音楽の細部)も同様にやはりより高いので、そのため信号/雑音比は、音楽と録音人工音の微妙さを隠す通常のスピーカーよりも高いままなのです。私がTD712zの試聴をしているどのポイントでも、私自身、技術的に最も完全な録音だけを聞くことに限定しなければならないとは感じませんでした。それどころか、私は、自分が完璧からほど遠いことを知っていた録音を聞くことに最も大きな楽しみを得たのです。TD712zを通してみると、私は自分の録音が「本当の」ように聞こえたよりも、もっと多くのものを聞いたという感覚があったのです。

 TD712zの音像の正確性と音場の解像度は際立ったものでした。正しい録音では、楽器や声が上下に移動しても、正しい位置にきっちりと空間定位していました。これは、全ての周波数を再生する単一のドライバーを持つ効果の1つに違い無く、ある楽器がいわゆるツイーター領域からミッドレンジ領域に移ったときにも音像の移動はありませんでした。複数のドライバーシステムおいては、ドライバーの物理的な軸のずれと、周波数レンジでのクロスオーバーによる選択可能な遅延がこの問題を解決します。しかし、シングルドライバーのTD712zでは解決しなければならない問題がないのです。私が"Best of Chesky Jazz and More Audiophile Tests/Vol.2" (Chesky JD 68)の難しい"イメージの深さ(Depth of Image)"のトラックを聴いたとき、それぞれ60フィート、70フィートと80フィートの距離で録音したクリック音は、ほとんどのスピーカーでは50フィートのところで録音されたように聞こえますが、ECLIPSEを通すとそれぞれが明確に識別できました。

 それでは、音の大きさと低音域の限界はどうなのでしょうか? 知覚される音の大きさは、実際の音圧レベルに依存します。それはまた音楽の動的な立ち上がり、立ち下り、注意散漫の有無、1日の時間帯、音楽に対する好み、または再生される音量の大きさがどうあるべきかの個人の嗜好性(ある人達は、通常、自分の耳を出血させるようなレベルで聞いていますし、それに対して他の人達はBGMの試聴レベル以上に音量を上げることはありません)等複合的な条件に関連する心理的な機能にも依存します。

 私は、あなたがライブのロックコンサートやオーケストラが全力で演奏している時の音量で再生した音楽が好きなのであれば、TD712zはあなた向きのスピーカーではないというのが公平であると思います。その4.7インチドライバーは驚くべき性能を持っていますが、限界があります。私は自分の4.3m(14フィート)×4.9m(16フィート)の部屋において、ある程度の余裕をもつ十分満足な音量で、このスピーカーを鳴らすことが出来ました。つまりこのスピーカーが限界音量で歪んだ状態にすることなく、プリアンプのボリュームコントロールを1〜2段(それ以上ではないけれども)上げることが出来たということです。TD712zの最大音量限界が低いという感覚を軽減しているものは、スピーカーの分解能と音楽の満ち引き(すなわち微少信号に対する機械動作)を表現する能力でした。リアルな音楽再生の為のベストな状態を作るために幾つかのスピーカーが大きな音量を出すのに対し、TD712zは客観的により低い音量レベルで主観的に同様の効果を達成することが出来たと言えます。

 
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