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■小さい口径のユニットがシングルでタイトに鳴っているという心地よさ

──そのベース一本で全てのリクエストを取り入れるという事ですか?──

そうです。シンプルにこの音が欲しいというだけなら簡単なんです。でも、僕の場合様々な音楽をやるんですね、ジャズやフュージョンはもちろん、クラシックも好きだし、ロックもラテンも演奏するのです。そうすると、櫻井モデルという一本のベースに全てを完璧な状態で入れ込むというと、やはりそれは無理ですよということになるんです。もちろん、製作サイドは間違ってもそう言いませんけどね(笑)。これでどうですか?今度はどうですか?と色々な部分を満たす様に作ってくると、またどこかが満たされなくなってしまう...。この音を出す為にはここをこうすると、今度はあの音は出なくる。そんなものなのです。

──それは、ECLIPSE TDシリーズスピーカーに例えるとどういう事なのでしょう?──

つまりECLIPSE TDシリーズスピーカーは凄く輪郭が見えるんですけど、それで低域も高域ももっと出せというのは、やはり無理があるんですよ。さらに言うと、ユニットが一つだけというのはそれがそれでいいんです。自分のステージモニターなどでも、時に12インチのスピ−カーをひとつだけにしています。二つのユニットだと、より迫力のある音が得られるのかもしれませんが、二つの波が混じる事で生じる「滲みや濁りの方が気になってしまう」。小さい口径のユニットがシングルでタイトに鳴っているという心地よさは十二分に発揮されていると思います。


櫻井哲夫さん
櫻井哲夫さん   ■ベストなバランスで鳴る音量を探るというのがヒント

──そのあたりが櫻井さんがECLIPSE TDシリーズスピーカーを評価している部分なのでしょうね。──

そうなんです。小口径シングルユニットスピーカーという本来の特徴性をここまで最大限活かせているスピーカーは他に無いんです。こんなに透明感があり、楽器の分離がビシッと出ているものは他にありません。アンサンブルも全て見えるので、まるで自分の近視が無くなって、いきなり目が良くなったという印象です(笑)。

──もし、よろしければリクエストやご意見などはありますか?──

はは、褒めてばかりではなんですね(笑)。正直ECLIPSE TDシリーズスピーカーはいい意味で音楽を選ぶと思います。アコースティック系の音楽は本当に良く鳴りますが、エンジニアがミキシングなどに凝りすぎたり、処理をしすぎているものは正直キツイですね。というのも、このECLIPSE TDシリーズスピーカー自体が音作りに凝ったりしてないでしょ。だからこそ、素のままのアコースティック楽器の再現は素晴らしいものはあるのですが。まあ、アンプやケーブル等の組み合わせもあるのでしょうか(笑)。もうひとつ言わしてもらえば、TD712zのクリアさと512のまろやかさの中間機種も聴いてみたいです。612なんて出てこないかな。どちらにしろ、オールマイティではなく、この音楽ジャンルにこそ強いという事をもっと言ってよいとか思います。

──それは、ありがとうございます。ECLIPSE TDシリーズスピーカーを使う上で、櫻井さんなりのヒント等があれば教えてくださいますか?──

そうですね、ポイントとしては、お聞きになるときの音量にあるかと思います。ECLIPSE TDシリーズスピーカーはボリュームが小さくても分離は素晴らしいですからね。逆を言えば上げすぎない事だと思います。聴く人にとって、ベストなバランスで鳴る音量を探るというのがヒントになるのではないでしょうか。もちろん、小さい音で聴いても四弦の解放弦などの「ドゥーン」という音もちゃんと出てくるので心配ありません。 <次へ>
 
       
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